「南インド」と聞いて具体的なイメージを浮かべられる方は少ないと思います。
日本人がインドと聞いてイメージする一般像は北インドに関するものが多く、
事実タージマハールやバラナシなど、有名な観光地の多くは北に集中しています。
ここではあまり知られていない南インドの紹介をさせて頂きたいと思います。
■南インドの地理
南インドとは南北に長いインド亜大陸において、現在のアンドラプラディシュ州から、最南端のタミルナード州にいたる距離にして南北約1200km、東西約1100kmの広大な地域を指します。
大まかに北にはアーリア人、南はドラビダ人という居住分布であり、現在のインド人の多くはその混血であるといわれています。
- From Andhra Pradesh to Tamiil Nadu
- 1100 kilometers from east to west and 1200 kilometers from north to south
■地理的多様性
南インドの大きな特徴にその地理的多様性があります。
赤道が目前にせまるこの地域は、一年中酷暑の地域であるかという印象を持たれがちですが、その地理的な特徴はバラエティに富んでいます。
西ガーツ山脈と東ガーツ山脈に挟まれた、インド中央部に広がるデカン高原は
砂漠から高原地帯まで様々な気候が入り混じった台地であり、様々な動植物の宝庫となっています。
デカン高原南部の都市、バンガロールの標高は900mであり、一年を通しての平均気温は20~28度ほどで日本人にとっては比較的過ごしやすい場所です。
そのためか世界中のIT企業が、インドでの拠点をこの街に置いており、世界のIT産業の中心地といっても過言ではない都市となっています。
逆にタミルナード州にある南インド最大の都市チェンナイ(旧名マドラス)は
沿岸部にある港町のため、湿度と気温は一年中高くシビアな気候といえるでしょう。
2500m級の山々から、熱帯のビーチまで様々な顔を持つこの地域が南インドと言う場所なのです。
■南インドの文化
北インドと比べると南インドは比較的治安が良いとされ、人も優しいと言われています。
北部の観光地で見られるような押し売りや物乞いはあまり見かけられません。
北と南では料理も異なります。
一番大きな違いは北はナン、南は米を主食とする点が大きな違いです。
もちろん北で米、南でナンが食べられていない訳ではありませんが、
南でナンを見かけることはまれです。
■豊富な天然資源
地球の陸地が形成されたのは25億年以上前と言われていますが、南インドの陸地もアフリカ大陸などと並び最古の大陸のうちの一つです。
その最古の大陸に隆起したデカン高原は、スウェーデンやフィンランドなどと並び、良質な花崗岩の一大産地であります。
南インドは土壌資源に恵まれた土地であり、鉄鉱石、ボーキサイトなども多く産出されます。そのため花崗岩に関しても中国などで産出されるものより雲母や石英、長石などが多く含まれ、硬く発色の良い石が多く産出されます。
■緻密な石材加工技術
インドの石材彫刻の歴史は古く、2000年以上の歴史があるとも言われており、石材加工に関しても伝統が生み出す丁寧な仕事が多く見受けられます。
特に南インドでは古くから石材が産出され、石材彫刻や加工製品の中心地となっています。
チェンナイの南60kmに存在する、マハバリプラムの建造物群は1500年もの歴史を持ち、世界遺産にも登録される世界的評価の高い石窟寺院群です。
南インド石材の旅